この「芸能人社交ダンス部」にしても、その原点となったのは1996年に公開された映画『Shall we ダンス?』の大ヒットにある。2006年~2007年には、南原清隆司会の『シャル・ウィ・ダンス?』(同)という、そのものズバリのレギュラー番組が放送されていたことさえあるのだ。笑いだけではなく、涙あり・感動ありの成長ストーリーは、現在その手法がスタンダードとして定着した“ドキュメントバラエティ”の先駆けとなった番組の1つとして、テレビ史に名を刻んでいる。
それにしても、なぜ“社交ダンス”なのだろうか? 視聴者と社交ダンスとの間にある“絶妙な距離感”に理由がありそうだ。映画『Shall we ダンス?』は、縁もゆかりもない中年男性が社交ダンスの世界に足を踏み入れることで、新しい自分を発見する…という話だったが、まさに(ちょっと勇気を出せば自分も華麗な社交ダンスの世界に入れる)という距離感が支持を集めた。例えば、これがシンクロナイズドスイミングやミュージカルとなると一般人にはハードルが高すぎるし、将棋や囲碁では地味すぎる。社交ダンスであれば、広いスペース・特別な道具が無くとも身ひとつでできる気軽さもあり、“通勤電車の窓から毎日見えるダンス教室”ぐらいの“近からず遠からず”の程よい距離感なのである。